
「それじゃー話が違ってくるってもんだぜ!」
『シャー・クロウェンクス・ド・フィアラン』は
"ウェイワード・ロブスター"
で
グラスに入った"ガランダ・ディスチレート"をぐいっと飲み干すと、
それを机にたたきつけて若い冒険者を指差した。
活気あふれるタバーンの中が、
一瞬静まり返って、またざわめきを取り戻していく。
「俺は、お前達が『ジャコビー・ドレクセルハンド・ザ・マッドマン』の野郎を殺した、
腕の立つ冒険者と聞いて仕事を依頼したんだ。
ところがだ。
年の初めにコイン・ロード
が主催したニューイヤー・ロト抽選会
で、
ヤツが悪さをしたって話じゃないか。
そーなると、お前さんがあの忌々しいヤツを殺したって話も
真実かどうかって話だ」
冒険者の顔から不満と苛立ちを感じとると、
彼はこう付け加える。
「いやいや誤解しなさんな、
お前達のことを決して疑ってるわけじゃない。
ハウス・フィアランは本当に信用のおける腕の立つ冒険者に
仕事を依頼したいんだよ。
これはしごく当然な理由だろ?
」
店員に手振りとあわせて
空のグラスを見せる。
「そこで、俺がお前達の腕前を
確かめてやろうってことさ。
なぁーに一切れのケーキを食べるように、
俺の依頼をぺろりと片付けてくれれば良いだけさ」
同時に"キュアード・ハム"を一切れ口に放り込む。
「なんだ?
仕事の依頼主はお前以外にも星の数ほどいるだって?
わかったわかった。
みすみす目の前を有能な冒険者が歩き過ぎて行くのを、
ただただここでディスチレートを飲みながら見ているのは
ハウス・フィアランにとっても、もったいないな!
」
彼は少し悩んだが、
何かひらめいたように目を大きくする。
「では、こうしようじゃないか。
俺の依頼をより早く解決した冒険者には賞品
を出そう。
どうだ?
俺はお前の技量を試せるし、
お前は、うまくやればちょっとした財産が手に入るってことさ。
良い取引だと思わないか?」
冒険者のうなずきに、笑みを浮かべ、続ける。
「よしきた!
詳細はこのメモ
に書いてあるから
よく読んで挑戦するんだな」
やけに細かな指示のある紙切れを、
冒険者に手渡す。
冒険者が読み終えたのを確認し、
彼は忠告する。
「いいか?
いかさまなんかしても、
ハウス・フィアランの目はごまかせないぜ。
お前も一度は聞いたことがあるだろ?
俺達の裏の仕事
を」
冒険者は依頼の目的地へ走った!
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